2010年01月28日

長崎の中国人強制連行裁判最高裁判決とその後の動き


さん.JPG★長崎と福岡の中国人強制連行裁判につき、最高裁は、昨年のクリスマスイブに不当な判決を出しておりました。さんざん時間を引きのばしておいて、あげくの門前ばらいという、汚いやり方です。
 大変遅くなりすみませんが、年末からの動きを簡単にご報告します。

※写真は、平和公園にある追悼碑除幕のときの原告の一人、賈同申さん。

★まずは、敗訴を伝える報道記事。
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最高裁が中国人の強制連行訴訟に判決、原告敗訴が決定

  第2次大戦中に福岡県内に強制連行され、過酷な労働を強いられた中国人
45人が日本政府と責任企業を対象に起こした損害賠償訴訟に対し、日本の最高
裁判所は24日、原告敗訴の最終判決を下した。中国国際放送局が伝えた。

  2003年2月、強制連行された45人は福岡地方裁判所に日本政府および三井
鉱山と三菱鉱山に謝罪と損害賠償を求める訴訟を起こした。福岡地方裁判所は
06年に一審判決で、強制連行と過酷な労働を強いられた事実を認めたものの、
国家無答責の法理や時効の消滅を理由に、訴訟を退けた。今回の最高裁判所に
よる判決は最終判決であるため、原告の最終的な敗訴が決定した。

  このほか、日本の最高裁判所は同日、長崎県に強制連行された中国人労働
者の上告を受理しない決定を下し、訴訟は原告側の敗訴が確定した。(編集担
当:村山健二)
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2009&d=1225&f=politics_1225_005.shtml


★次に、この判決文。
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平成21年(受)第141号
決定
当事者の表示 別紙当事者目録記載のとおり

 上記当事者間の福岡高等裁判所平成19年(ネ)第333号損害賠償請求事
件について、
同裁判所が平成20年10月20日に言い渡した判決に対し、
申立人らから上告受理の申立てがあったが、申立ての理由によれば、本件は、
民訴法318条
1項により受理すべきものとは認められない。
 よって、当裁判所は、裁判官全員一致の意見で、次のとおり決定する。

主文

本件を上告審として受理しない。
申立費用は申立人らの負担とする。

平成21年12月24日

裁判長裁判官 甲斐中 辰夫
   裁判官 宮川 光治
   裁判官 櫻井 龍子
   裁判官 金築 誠志

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★これを受けて、長崎の中国人強制連行裁判を支える会が、声明を発表し、また、長崎県へ追悼碑建立を申しいれました。
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抗 議 声 明

 長崎の中国人強制連行裁判(長崎三島中国人強制拉致・使役損害賠償請求事件)の上告審において、本日、最高裁第2小法廷が下した判決に満腔の怒りをこめて抗議する。
 最高裁は西松建設中国人強制連行訴訟において、2007年4月27日、中国国民の戦時損害賠償請求権は日華平和条約(1952年)および日中共同声明(1972年)によって消滅したとする極めて不当な解釈を導入して広島高裁判決を覆し、長崎訴訟に対してもその判決を踏襲したものに過ぎないとはいえ、そもそもこの解釈は戦後の日中関係の歴史的経緯を顧みない一方的独断的決め付けであるばかりか、戦後国際法上において確立されてきた個人の損害賠償請求権を否定するものであり、人権を最優先する国際法の進歩に逆行する恥ずべきものであることに変わりはない。国民は国家の奴隷ではない。国家といえども国民個々人の基本的人権を奪うことはできない。日本の侵略戦争によって未曾有の痛ましい被害を被った中国国民の損害賠償請求権は、いかなる国家間の条約によっても奪われない根本的権利である。国家が条約によって喪失しうるのは外交保護権のみであって、国民の損害賠償請求権を喪失させることは許されない。日本政府にしてもその法理は熟知しており、従って、シベリア抑留日本兵のロシア政府(旧ソビエト)に対する賠償請求権を認めているのである。
 最高裁は本判決によっても国の御用機関的性格を一層鮮明にしたといわざるをえない。この批判はすでに多くの国民に共有されているところであるが、更なる信用失墜を免れない。中国人強制連行被害者に対する賠償責任を免罪することは、一見法律論の展開を装っていようとも、国と企業の恣意的な主張を追認したのに過ぎず、最高裁の政治性の顕著な証明である。しかも日中共同声明について相手国の中国が「一方的に解釈した日本最高裁の行為に強く反対する。違法な解釈であり、無効だ。」(2007年4月28日)と公式に表明しているのであるから、法律的にも多大な疑義があり、独善的な解釈という他はない。日中共同声明によって中国が「日本国に対する戦争賠償の請求を放棄」したのは「中日両国国民の友好のために」であって、その高邁かつ寛大な精神をも最高裁は踏みにじった。中国人民の憤激は容易に察せられ、われわれ日本国民も司法の最高機関がかかる卑劣な判決を下したことに赤面の念を禁じえない。
 また、先の最高裁判決は、「被害者らの被った精神的・肉体的苦痛が極めて大きかったこと、西松建設は中国人労働者らを強制労働に従事させて相応の利益を受けていることなどの事情を考慮すると、西松建設を含む関係者に被害救済に向けた努力をすることが期待される」と付言しており、この付言の影響もあって長崎訴訟では被告の三菱マテリアルが、2008年6月2日、「全体的、抜本的な解決と国の応分の負担を条件とする和解ならば応じる」と表明したのにもかかわらず、国側が「判決を求める」として頑なに和解を拒否したために、同年7月15日、和解協議は決裂を余儀なくされた経緯がある。最高裁判決がこの経緯を無視して国側の態度を何ら批判していないのは、先の「付言」がいかに無責任な軽口であったかを証明していると断ぜざるをえない。「付言」が信義則に基づく真剣なものであるならば、政府及び国会に立法措置による被害救済を促す「付帯意見」があって然るべきである。多くの下級審判決によって強制連行・強制労働の事実認定は不動のものとなっており、被害救済を怠る政府に政治的・立法的解決を促すことは、本来、正義・公平の法治を原理原則とする司法の責務であるからである。
もとより被害者とその団体が謝罪と損害賠償の要求を取り下げることはありえない。長崎の中国人強制連行被害者も、日本政府と使役企業の賠償責任を追及して要求実現の日まで徹底的に闘う決意を固めている。最高裁の不当判決に強く抗議するとともに、日本国民の責務としてすべての中国人強制連行被害者と連帯して闘うことをここに表明する。
2009年12月24日
長崎の中国人強制連行裁判を支援する会
                              代 表  本島 等
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★また、長崎県への申入れについての長崎新聞記事です。
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http://www.nagasaki-np.co.jp/kiji/20100107/03.shtml

中国人強制連行訴訟が原告敗訴確定 支援者ら抗議、「追悼碑」を再要請


県に追悼碑の建立を要請する支援者ら(左)=県庁
 戦時中、本県の炭鉱に強制連行され過酷な労働を強いられたなどとして、中国人元労働者や遺族計10人が国や県、三菱マテリアル(東京)など2社に損害賠償を求めた中国人強制連行長崎訴訟の上告審で、最高裁は6日までに原告の上告を受理しない決定をした。原告敗訴の一、二審判決が確定したのを受け、支援する市民団体は同日、最高裁に抗議声明を送付。被告の県に対し、強制連行で犠牲になった中国人の追悼碑を県内の炭鉱跡4カ所に建立することなどをあらためて要請した。

 決定は昨年12月24日付。長崎市役所で会見した「長崎の中国人強制連行裁判を支援する会」の本島等代表(87)らは「門前払いの不当判決」「戦争を凝視しなければ、日本は歴史的に世界から批判を受ける」などと反発した。新政権下の国や2社に今後、司法の場以外でどういった対応を求めていくか検討したいとした。

 同会は追悼碑の建立などをあらためて県に要請。対応した笹原哲夫雇用労政課長は「要請を上司に伝える」と述べるにとどめ、支援者らは早急に態度を明確にするよう求めた。

 原告は高島、端島、崎戸の3炭鉱の生存者や原爆犠牲者の遺族ら計10人。2003年11月に提訴した。長崎地裁は被告4者の不法行為を認めたが、賠償請求権は加害行為から20年以上が経過し消滅したとする「民法の除斥期間」を適用し、退けた。福岡高裁も一審判決を支持し、原告が上告していた。提訴後、生存の原告7人のうち2人が亡くなったという。

 同会によると、本県では4炭鉱に計1042人の中国人が強制連行され、終戦までに115人が死亡。うち32人が原爆の犠牲となった。

(1月7日付長崎新聞)

以上


posted by toratanu21 at 01:01| 長崎の戦後補償裁判・運動など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする